マックスマーラのサイズ選びは難しい？失敗しない選び方を徹底解説！

マックスマーラのサイズ選びが難しい理由とモデル別の特徴

サイズ選びは運任せ？イタリアンサイズとインターナショナルの決定的違い

マックスマーラには、主にイタリアンサイズ（IT）とインターナショナルサイズ（INTL / S,M,L）の2つの表記が存在します。この違いを理解していないことが、通販での失敗の最大の要因です。

なぜこの2つが混在するのでしょうか？それは、ブランドの歴史とターゲット市場の違いに由来します。メインラインである白タグは、伝統的なイタリアのクチュール技術を継承しており、身体のラインを美しく見せるために細分化されたサイズ展開（IT34〜IT48など2サイズ刻み）を持っています。これは、着用者の身体に精密にフィットさせることを前提としたビスポーク（注文服）の精神が根底にあるからです。

一方、よりカジュアルなラインや、デザイン自体がオーバーサイズであることを意図したモデルでは、ざっくりとしたS/M/L展開（インターナショナルサイズ）が採用されます。

メインライン（白タグ）のコートは基本的にIT表記です。日本サイズへの換算は以下の通りですが、あくまで目安に過ぎません。

一方、テディベアコートなどの一部モデルはS/M/L表記ですが、これらは非常にオーバーサイズに作られています。普段MだからMを選ぶと、布団を着ているような状態になりかねません。表記に惑わされず、実寸とモデル特性を理解することが重要です。

101801（マダム）：トレンドで変わるジャストとオーバーの境界線

1981年に誕生したアイコンコート101801は、元々オーバーサイズで着ることを前提に設計されています。120cmを超える着丈と、和服のキモノスリーブに着想を得たラグランスリーブは、80年代の働く女性のプロテクション（鎧）としての意味合いもありました。このコートは、どのような体型の女性が着ても美しいドレープが生まれるよう、計算し尽くされた黄金比で作られています。

しかし、現代のトレンド、特に日本の住環境や身長バランスにおいては、この本来のオーバーサイズが裏目に出ることがあります。あまりに大きすぎると、服に着られている印象を与え、借り物のように見えてしまうのです。特に150cm台〜160cm前半の日本人女性の場合、本来の適正サイズとされるIT38を着ると、袖が指先まで隠れてしまい、肩のラインも落ちすぎてだらしなさにつながりかねません。

そのため、現代の最適解はあえて1〜2サイズ下げて（IT34やIT36）、すっきりとしたAラインを楽しむことです。101801は身幅がたっぷりあるため、2サイズ下げてもアームホールがきついということは稀です。むしろ、サイズを下げることで肩周りがコンパクトになり、裾に向かって広がるAラインがより強調され、スタイルアップ効果が生まれます。

101801はオーバーサイズが正義という80年代の固定観念を捨て、自分の体型に合わせてあえてサイズを下げる勇気を持つことが、洗練された令和の着こなしへの近道です。

マニュエラ：セットインスリーブだからこそ誤魔化せない肩幅の重要性

ガウンタイプのマニュエラは、ピュアキャメル100%の美しい光沢と、洗練されたラップデザインが特徴です。しかし、サイズ選びにおいては最もシビアなモデルと言えます。なぜなら、ラグランスリーブの101801とは対照的に、セットインスリーブ（普通袖）を採用しているからです。

セットインスリーブのコートにおいて、肩幅のサイズ感は全体の美しさを決定づける命です。肩山（袖の付け根のトップ）が自分の肩の骨の頂点と合っていないと、途端にシルエットが崩れます。ほんの1cm大きいだけで借り物のように見え、逆に小さいと背中に横ジワが寄り、キャメル素材特有のエレガントなドレープ（水面のような波打ち）が台無しになります。

マニュエラに関しては、オーバーサイズのトレンドに流されてサイズアップしたり、逆に細見えを狙って無理にサイズダウンすることは推奨しません。ジャストサイズ（通常IT38の方ならIT38）を正々堂々と選ぶべきです。身幅の調整は、付属のベルトで行います。ジャストサイズの肩で着て、ウエストベルトをきゅっと絞ることで初めて、マックスマーラが意図した砂時計のような女性らしいシルエットが完成するのです。

サイズに迷ったら、身幅や着丈ではなく、とにかく肩で合わせてください。袖丈や着丈は後からお直しで調整できますが、肩幅の修正はコートの構造そのものを解体する必要があり、シルエットを大きく損なうため、基本的に避けるべきです。

テディベアコート：低身長でも着られないためのボリューム攻略法

2013年の登場以来、瞬く間に世界中のファッショニスタを虜にしたテディベアコート。アルパカ、ウール、シルクをブレンドしたこの素材は、見た目のボリュームに反して驚くほど軽量です。しかし、その圧倒的なボリューム感（コクーンシルエット）こそが、サイズ選びを極めて難しくさせています。

表記はS/M/Lのインターナショナルサイズですが、その作りは非常に巨大です。通常の日本サイズ感覚でMを選ぶと、まるで着ぐるみか、布団を被っているかのような状態になります。

160cm以下の日本人女性の場合、迷うことなくXS一択をおすすめします。XSだと中に着込めないのではという心配は無用です。テディベアコートのXSは、日本のLサイズ、あるいはそれ以上のゆとりがあります。厚手のローゲージニットを着ても全く問題ありません。むしろ、Sサイズを選んでしまうと、肩幅が広がりすぎて上半身が四角く見え、いわゆるガンダムのようなシルエットになりがちです。

逆に、165cm以上の方や、あえてモードなビッグシルエットを楽しみたい方はSやMを選んでも良いでしょう。ただし、着丈が長くなる分、足元のバランスがシビアになります。フラットシューズ合わせが難しくなり、常にヒールが必須になる可能性も考慮してください。テディベアコートにおいて着られるのではなく着こなすためには、まずは最小サイズから試すことが鉄則です。

キューブ（The Cube）：ダウン特有の膨張を防ぐ細見えサイズ術

The Cubeコレクションは、最高級のシベリアングースダウンを使用し、専用のトラベルバッグに収納できる実用性とエレガンスを兼ね備えたシリーズです。こちらは、ウールコートとは全く異なるサイズ選びの基準が必要です。

ダウンコートにはロフト（羽毛の嵩高）による物理的な厚みがあります。そのため、ウールコートと同じITサイズを着ると、内側の密着感が高く、ややタイトに感じることがあります。しかし、ここで窮屈だからと安易にサイズアップするのは危険です。ダウン自体にボリュームがあるため、サイズを上げると全体が丸く膨張し、まるで雪だるまのように見えてしまうリスクがあるからです。

Cubeのダウンは、計算されたステッチ幅とパターンで、着膨れを防ぎつつ保温性を最大化するよう設計されています。基本はジャストサイズ（白タグと同じITサイズ）を選び、インナーの厚みで調整するのが賢明です。

そもそも、The Cubeの保温性は非常に高く、真冬でも薄手のカシミアニットやハイゲージのインナーで十分暖かく過ごせます。厚手のざっくりニットを着込むこと自体が、Cubeのスタイリングとしては野暮です。薄手のインナー ＋ ジャストサイズのCubeという組み合わせこそが、ダウンでありながらドレスのように美しい、マックスマーラならではの細見えスタイルを実現します。

マックスマーラのサイズ選びが難しい方へ！体型別ガイド

【155cm前後】IT34かIT36か？着丈で選ぶと失敗する理由

150cm台中盤の小柄な方にとって、インポートコートの最大の壁は着丈です。101801などのロングコートは、そのまま着るとくるぶし丈、あるいは床すれすれになってしまうこともあります。そのため、少しでも着丈が短いものをと最小サイズのIT34を選びがちです。

しかし、着丈だけを基準にサイズを下げるのは非常に危険な賭けです。IT34まで下げると、着丈だけでなく、肩幅、バスト、アームホールも比例して小さくなります。もしあなたのバストやヒップに一定のボリュームがある場合、ボタンを閉めた時にパツパツになり、横ジワが入ってしまいます。これでは、どんなに高級なコートも台無しです。特にマニュエラのようなセットインスリーブの場合、身幅のゆとりがなくなると貧相に見え、優雅さが消え失せてしまいます。

正解は、身幅（バスト・ヒップ）に合わせてサイズを選び、着丈は潔くお直しすること。 マックスマーラのコートは、裾上げを前提に作られています。IT36で体のラインが美しく出るなら、迷わずIT36を選んでください。そして、着丈を5cm〜10cm詰めましょう。せっかくのシルエットが変わってしまうのではと心配されるかもしれませんが、信頼できるお直し専門店であれば、Aラインの広がりやスリットの処理など、オリジナルを尊重した補正が可能です。お直し代（数千円〜1万円程度）をケチって窮屈なサイズを着るよりも、自分仕様にカスタムする方が、圧倒的にラグジュアリーな選択です。

【160cm〜165cm】標準体型こそモデルによる微差に気づきにくい罠

日本人の平均身長である160cm〜165cmの方は、多くのブランドで標準サイズが適用されます。マックスマーラにおいても、基本的にはIT38、あるいはIT40がジャストフィットする幸運な体型です。しかし、それゆえに試着なしで通販購入し、思っていたのと違うというミスマッチが起きやすい層でもあります。

特に注意すべきは、モデルごとの袖丈の設計差（個体差）です。 例えば、101801は元々袖が長めに作られています。163cmの方がIT38を着ると、親指の付け根はおろか、指先まですっぽり隠れてしまうことがよくあります。これを萌え袖で可愛いと捉えるのはカジュアルウェアの発想です。大人のエレガンスを追求するなら、手首のくるぶしが隠れる程度に袖丈を詰めるのが正解です。

逆に、The Cubeのダウンや一部のシーズンモデル（特に七分袖のデザインなど）は、袖がジャスト〜やや短めに設定されていることがあります。この場合、IT38を選ぶと、腕を動かした時にインナーが丸見えになり、寒々しい印象を与えることがあります。 私はいつもIT38だからと盲信せず、モデルごとに袖丈（裄丈）を確認してください。手首が美しく見えるか、それともだらしなく見えるか。この数センチの差が、洗練された印象の分かれ道です。

【170cm以上】袖丈が足りない問題を解決するIT40以上の選択肢

170cm以上の高身長の方は、まさにマックスマーラのミューズのような存在です。マニュエラのロング丈も、101801のボリューム感も、本来のバランスで颯爽と着こなせる理想的な体型と言えます。しかし、唯一にして最大の悩みは袖丈が足りず、手首が出すぎて野暮ったく見えることになりがちだという点です。

マックスマーラは着丈・袖丈ともに欧米基準で長めの設定ですが、それでも170cmを超えると、IT38では袖が手首の骨（茎状突起）より上に来てしまうことがあります。冬場にコートの袖からインナーのニットが5cmも10cmもはみ出しているのは、あまりエレガントではありません。

高身長の方への推奨は、身幅よりも袖丈を優先し、思い切ってIT40〜42を選ぶことです。 IT40だと身幅が大きすぎるのではと不安になるかもしれませんが、マックスマーラのコートはドレープが美しいので、多少身幅が大きくても優雅なゆとりとして成立します。マニュエラならベルトで絞れば問題ありませんし、101801ならそのボリューム感がよりモードな雰囲気を演出します。 袖丈が十分にあることのラグジュアリーさは、身幅のタイトさよりも優先順位が高いのです。袖が短いコートほど、垢抜けないものはありません。

試着室で必ず確認すべき3箇所：肩の落ち位置・ボタン位置・袖のたまり

サイズ感の正解は、数値ではなく鏡が教えてくれます。ご自宅での試着、あるいはマックスマーラ公式サイトで店舗在庫を確認して実店舗へ足を運ぶ際は、以下の3点を必ずチェックしてください。

1. 肩の落ち位置（ショルダーポイント）
   セットインスリーブ（マニュエラ等）の場合、自分の肩の骨の頂点とコートの肩山が合っているか。ここが落ちていると着られている印象になります。逆にラグラン（101801等）は、なで肩に見えるシルエットになっているかを確認します。
2. ボタンを留めた時のヒップライン
   ボタンを全て留めて、ヒップ周りがパツパツになっていないか、あるいは横ジワが入っていないか。コートの中で体が泳ぐくらいの余裕（拳1つ分）が必要です。
3. 袖のたまり具合
   腕を曲げた時に、手首が出すぎていないか。また、自然に下ろした時に手の甲にかかる長さが適切か。長すぎる場合は、折り返しても裏地が見えないデザインかどうかも重要です。

通販購入の最終手段：日本国内のお直しサービス活用を前提とした計算式

通販で買いたいけれど、試着できないのが不安という方は、大きめを買って縮めることを前提に計算してください。

洋服のサイズ直しは小さくする（詰める）ことは比較的容易ですが、大きくする（出す）ことは縫い代の限界があり困難です。もしIT36かIT38で迷ったら、IT38を選んでおき、届いてから信頼できるお直し専門店（サルトリアなど）で、自分の体に合わせて袖丈や着丈を詰めるのが最も安全な策です。

特にマックスマーラのコートは、世代を超えて受け継ぐ一生モノです。既製品をそのまま着るのではなく、数万円のお直し代を投資してオートクチュールのように自分に合わせることこそ、真の贅沢と言えるでしょう。

まとめ：マックスマーラのサイズ選びが難しいと悩む方への最終チェックリスト

マックスマーラのサイズ選びで迷ったら、以下の3つの原則に立ち返ってください。

• モデル特性を知る：101801はオーバーサイズ、マニュエラはジャストサイズが基本。モデルごとの設計思想に逆らわないことが成功への第一歩です。
• 表記より実寸と肩：IT表記はあくまで目安。小柄ならIT34、高身長ならIT40以上も視野に入れ、特に肩の位置が合っているかを最優先してください。
• お直しを恐れない：既製品が完璧にフィットすることは稀です。身幅で合わせて、丈は直す。この発想を持つだけで、選択肢は大きく広がります。

この多角的な視点を持つことで、あなたに合ったコートを見つけてください。